このページでは、オオクワガタの幼虫の飼育方法を紹介いたします。
用意する物
菌糸ビン
オオクワガタの飼育に革命をもたらしたと言われている物です(そんなこと言わなくても皆さんご存知か、、)。色々なメーカーの菌糸ビンを使って比較してみるのも幼虫飼育の楽しみの一つです。
焼入りスプーン
30cmほどある非常に頑丈なスプーン。500円程で売られています。幼虫を掘り出す際に利用します。別に普通のスプーンでもいいのですが、こちらの方が幼虫を掘り出すのが非常に楽です。
デジタルスケール
普通のスーパーで2500円前後で売られています。こちらも無くても良いものですが、やっぱり幼虫の体重を測る時がオオクワ飼育をやっていて一番楽しい時なので、必需品と言えるでしょう。0.1g単位で測れる物もありますが、値段が高いです。そこまで細かく測る必要はないでしょう。
飼育方法
菌糸瓶への投入時期について
幼虫を割り出したら、即菌糸瓶に入れても平気です。但し、1令の初期段階では、菌糸に巻かれて死んでしまう幼虫もいるようですが、ある程度大きくなっていれば、問題ないでしょう。プリンカップに入った菌糸にまず入れる方法もありますが、面倒ですし、できるだけ余計な工程は避けましょう。
菌糸瓶に入れる時期は早ければ早いほど良いです。3令になってからいれても大きくなりません。いかに早く菌糸瓶に入れるかがポイントになります。入れてしまったら、あとは静かに待つだけです。
菌糸交換時期まで何もすることはありません。できるだけ触らないようにして、暗い場所に保管するのが望ましいです。但し、たまには様子を見た方がよいです。中には菌糸が合わずに、瓶の中を暴れ回っている幼虫もいますので、そんな時は直ぐに交換した方が良い場合もあります。
菌糸瓶の交換のタイミングについて
菌糸瓶の白い部分が1/3程度になった場合か、幼虫を入れてから3ヶ月程経ったら交換すると良いと言われております。とりあえず初めの交換は白い部分が多くても必ず3ヶ月で交換します。難しいのが2回目3回目の交換のタイミングです。
菌糸瓶の交換は幼虫にとっては、かなりの環境変化です。日本人が転勤でアメリカに行くようなものです(分かりづれ~、、、)。同じメーカーの菌糸瓶を使っていてもやはり新しい菌糸瓶と3ヶ月経った菌糸瓶とでは、大きく環境が異なるようです。
大型を狙う場合は、適切なタイミングで交換することが非常に大切になるようです(別に大きさこだわらない場合は、気にする必要はないです)。幼虫によって2回目以降はかなりエサの食べ方にバラつきがあります。菌糸がいい状態で、幼虫が快適にエサを食べている時に交換してしまうと、せっかくの良いコンディションが台無しになってしまいます。
私の経験上大事なのは「あせるな」と言う事です。幼虫飼育は菌糸瓶の交換時以外にやることがないので、早くいじりたくなってしまうのですが、そこをぐっと耐えることが肝心だと思います。古くなって少々劣悪な環境になっても幼虫達は意外と平気なものです。放置して忘れていた菌糸瓶から大型の固体が出たなんていう話をよく聞くのは、このあたりが影響していると思います。
また新しく買った菌糸瓶はすぐに使わず、最低1週間程は使わずに保管しておいた方が良いようです。特に通販で購入した菌糸瓶の場合、輸送時の振動で炭酸ガスの濃度が濃くなってしまうらしいのです。菌糸瓶の中は酸欠状態になってしまっていますので、その中に幼虫を入れたら、もがき苦しんでしまいます。菌糸瓶交換時に幼虫が暴れてしまう原因の一つに酸素濃度が影響していると言われています。
蛹化と蛹までの菌糸瓶の交換本数について
蛹になるまでに必要な菌糸瓶の本数は、♀メスは1~3本、♂オスは2~4本程です。できるだけコスト抑えるため、私は♀メスは2本で、♂オスは3本までにしています。予期せず幼虫が暴れてしまった場合は交換本数が多くなってしまいますが、なんとか上記の本数に抑えるようにしています。
実際のところ、♀メスは1本、♂オスは2本で十分ではないかと思うようになってきました。交換時のリスクを考えたら、できるだけ本数は少ない方がいいはずです。大きめの菌糸瓶を利用して本数を減らすのも良いです。但し、飼育スペースを考えると厳しいものがあります。幼虫を菌糸瓶に入れてから、6~12ヶ月程で蛹になります。
蛹になる頃は、菌糸瓶には触れず、そっとしておいてやりましょう。菌糸瓶交換なんて言語道断です。蛹については、特に人工蛹室に入れたりはせず、自然の摂理に任せます(面倒なだけか!)。羽化不全したら、それはもうしょうがないでしょう。あまり心配しすぎるのはよくありません。焦って失敗するケースの方が多いと思います。放任主義が一番です。しっかり固まった成虫を割り出した時の感動はなんともいえないものがあります。
タイムスケジュール目安
年月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 |
菌糸ビン本数 | 1本目 | 2本目 | 3本目 | 4本目(劣化した場合) | ||||||||
幼虫の成長段階 | 1令、 2令、 3令 |
3令中期 | 3令終期 | 蛹・羽化 | ||||||||
予想体重 | 1~23g | 23~30g | 30g変わらず | – |
その他注意点
飼育温度について
飼育温度は、18~28℃の間をキープしましょう。30℃を超えると菌糸が劣化してしまうそうです。しかし、我が家では最高31℃ぐらいの環境で飼育していましたが、問題なかったです。でもやっぱり最高でも25℃ぐらいに抑えるのが理想でしょう。
また、あまり一年中快適な温度にしておくと、幼虫がなかなか蛹にならない現象が発生します。これを「セミ化」と呼びます。セミのように何年も幼虫のままでいる為にこの名前がついています。セミ化を避けるため、蛹になる前の2月ごろに、20℃以下の環境に置いておくのが良いようです。温室の利用方法については「温室について」をご参照下さい。
年間の温度目安
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 |
温度目安 | 20℃ | 20℃ | 22℃ | 23℃ | 25℃ | 26℃ |
月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
温度目安 | 28℃ | 28℃ | 26℃ | 24℃ | 22℃ | 22℃ |
菌糸ビンを買ってきたら
菌糸ビンは買って来てもすぐに幼虫を入れない方が良いです。移動中の振動で菌糸が刺激を受け、二酸化炭素の濃度が濃くなってしまっているからです。近くのショップで買った場合は問題ないですが、通販の場合は必ず、2,3日おいてから利用します。その際、菌糸ビンを逆さにして置くと中の換気がうまくいくようです。
キノコに注意!
菌糸ビンは元々キノコの栽培用に利用されていたものです。常温で放っておくとキノコが生えてきます。キノコが生えてしまいますと中の栄養分がすべてキノコに吸収されてしまい幼虫のエサになりません。またキノコが生えると劣化し易くなります。できるだけキノコが生えない環境をキープすることが大事です。20℃以下15℃ぐらいでキノコが生え易くなります。また激しい温度変化がある時もキノコが生え易いです。
蛹はデリケート!
蛹は非常にデリケートです。割出す際や人工蛹室に移す際は十分注意しましょう。ちょっとでも傷を付けてしまうとそこから体液が出てしまい死んでしまうか、生きていても羽化不全の原因となってしまします。
羽化不全・人工蛹室について
飼育方法のところでは、人工蛹室は利用しないと書きましたが、最近はよく利用してます。自然に任せた方が良いと思っていましたが、実際は菌糸ビン自体人工的な物で、自然環境とは異なります。菌糸ビンは3ヶ月を越えたあたりからどんどん劣化していきますし、幼虫が蛹になる頃は、菌糸ビンを利用してから3ヶ月以上経ち、また温度がどんどん上がってくる頃です。劣化したビンの中に蛹を入れておくと、ガスが発生したり、寄生虫が発生して、蛹が死んでしまったりすることがあります。
人工蛹室を利用することでこれらの問題が解消されます。初めちょっと面倒だし抵抗がありましたが、使ってみるとなかなか良いです。菌糸ビンの中で羽化させるよりもむしろ確実に綺麗な固体が生まれます。ただし人工蛹室でも注意すべきことがあります。それは水分です。人工蛹室はスポンジで出来ているのですが、そのままでは乾いていますので、水を含ませるのですが、これが多すぎると蛹が腐ってしまいますし、少ないのもまたダメです。人工蛹室を入れる容器に0.5cmぐらい水を入れて、それをスポンジに含ませるといいと思いますが、これは感覚的なもんですので、頻繁にチェックが必要だと思います。
しかし、人工蛹室を使ってすべてが解消される訳ではありません。どうやっても避けられないものあります。特に大型の蛹ほど羽化不全してしまうケースが多いようです。せっかくデカイ幼虫を育てても羽化不全してしまうと本当にがっくりしますね。人工的にでかくしていますので、仕方がないのかもしれません。
無事羽化したら
無事羽化したら、2,3週間はそのままにしておきます。しばらくは写真のように赤く柔らかい状態ですので、触ってしまうと危険です。がっちりと固まるまで待ちましょう。
ビックサイズを狙うために、、。
初めに
当ホームページのテーマであり、最大の目標がビックサイズ(80mmオーバー)のオオクワガタを産み出すことなんですが、未だ(05/07/04現在)80mmオーバーには遠く及ばず、76mmが最高で、このテーマについて書く資格がない状態です、、。しかし、色々お金を注ぎ込みましたし、他のHPや本やら雑誌やらをたくさん読んで、いろいろ判った知識を披露したいと思います。
血統について
どうやら大型のオオクワガタをブリードする最大のポイントは血統(遺伝・素質)のようです。大型になる素質ないクワガタでいくら工夫を凝らしたところで、80mmを達成することは難しいようです。76~77mmぐらいまでは工夫飼育で何とかなるそうですが、それ以上になる場合は、もともと大型になる血統のクワガタでないと無理だそうです(76mmでも十分デカイですが、、。76mmは野外でのギネスサイズで、このあたりに壁が存在するとか)。
オオクワ飼育の歴史というのは30年ぐらいなもんです。菌糸ビン飼育が始まったのが10年ぐらい前です。その間に、いろいろと交配をやったところでたかが知れているという事でしょうね。クワガタはもっと何千年前から生きてますからね。犬とか猫とかサラブレットぐらいの歴史があればいろいろ人工的に交配したビックサイズというのも出てくるかもしれませんが、、。
添加剤について
血統は重要ですが、飼育方法がめちゃめちゃだったら、大型にはなりません。基本がしっかりできていないとダメですが、基本にプラスしていろいろと裏技があるようです。その一つが菌糸ビンに混ぜる添加剤です。
これは色々と研究されていますが、実際のところはよく判明していないようです。有名な添加剤としては「フスマ」「麦芽」「小麦粉」「トレハロース」等があります。また、ミネラル系が結構重要なようで、この辺はマル秘で利用している人もいるようです。有名なところでは「ビール酵母」があります。その他にも色々あるようですが、実験して結果が出るまでに何ヶ月もかかり、検証結果がすぐに出ないところがキツイですね。
幼虫の頭幅をでかくする
羽化した際にどれくらいの体長になるかの目安として幼虫の体重が用いられますが、これが意外とあてにならないケースがあります。大体幼虫の体重が30gを超えれば、80mmを超えると言われていますが、体重があるにも関わらず、小型で生まれる場合もあります。
逆に体重があまりないのに、大型になるケースもあります。そこで体重に変わる目安として幼虫時の頭幅が測られています。頭幅のある幼虫はでかくなるということが判ってきたため、幼虫時に如何に頭幅をでかくするかがマニアの間では研究されているようです。中には1令、2令時に硬いマットを食べさせてでかくする人もいるようですが、効果があるのでしょうか?硬いものを食べれば顎が強くなるという人間的な発想が、クワガタに通用するのか?まだまだ謎が多い分野です。
コメント